
治療を始めるに当たり、私が最初に見極めなければならないのは
1、眼瞼挙筋の修復が必要なのか
2、タルミの除去が必要なのか
3、その両方か
ということです。
1と2では切開の位置なども大きく変わってくるので、そこが曖昧だと、理想的な仕上がりにはできません。
まして、一挙両得のようなこともないのです。
●case.1:眼瞼挙筋の修復
この場合、基本となるのは二重(まぶた)ラインでの切開です。
そうすることで、二重まぶたの中に傷が隠れるので目立ちません。
加えて、ご希望の二重まぶたを作ることが出来ます。
眼瞼挙筋を修復する際、必ずミュラー筋と眼瞼挙筋の位置関係を改善します。
術後の開く感覚に慣れやすくするために必須だと考えているからです。
また、眼窩脂肪が入っている眼窩隔膜は破りません。
眼窩脂肪が垂れ下がり、厚ぼったいまぶたになっている場合には
破らずに引き上げて固定する事で
不自然な二重の段差にならずにまぶたの厚みを変える事が出来ます。
さらに、まぶたの開きを悪くしている原因は眼瞼挙筋の弛みだけではありません。
開く際に障害となっている“引っかかり”があります。
それは眼瞼挙筋が固定されている目頭ー目尻方向の突っ張りや、もっと奥の方の靭帯であったりしますが、
症状に応じて、そこを引っかかりのない状況にします。
これは、切らない眼瞼下垂手術では治せない部分です。また、開きが悪くなる位置も違います。
一般的に、内側の眼瞼挙筋は薄くなり、加齢とともに開きにくくなります。
しかし、内側が開いていない様では十分に改善されているとは言えないのです。内側が十分に開く事が重要です。
なお、前転して余ってしまった挙筋腱膜は、完全には捨てず二重まぶたに使用します。
二重の引き込まれ方、浅さ、深さも、まぶたの形を決定する上で重要な点だからです。
●case.2:タルミの除去
眼瞼下垂の症状は、まぶたのタルミで気づく方がほとんどです。
タルミがあると、頑張って眼を開けないといけないのでだんだん辛くなってきます。
少量のタルミであれば、二重まぶたのラインで取るのがお勧めです。
これは昔からある治療法で、二重の中に傷跡が隠れてしまうので直後から目立ちません。
通常は、目頭から、目尻の外側まで取ってしまいます。
外側も「カラスの足跡」と呼ばれる皺に合わせるので目立たないのです。
また、同時に二重まぶたを作ることになるので印象を変えたいと希望される方にもお勧めしています。
しかし、あまりにタルミが多い場合は
二重まぶたのラインで十分にとることはお勧めできません。
その理由は二つ。
まず、まぶたの皮膚は、まつ毛に近づくほど薄く、
眉毛に近づくほど厚くなっています。
そのため、二重まぶたのラインでたくさんのタルミを取ると、
取った上下で皮膚の厚みに差が付きすぎてしまい、
眼を閉じた時の不自然な段差の元になってしまうからです。
もう一つは、同じく皮膚の厚みに関することです。
まぶたの皮膚は薄ければ薄いほどキレイな二重になりやすいので、眉毛の近くの厚い皮膚を捨てて
睫毛付近の薄い皮膚を残した方が良いのです。
従って、タルミを多く取る場合には、眉毛の下でとることをお勧めしています。その目安は1㎝以上とる場合です。
ただ、皮膚は引っ張れば伸びてしまうので、あくまでも目安だと思ってください。
この施術の欠点は、眉毛の下に傷跡が出来ることだけ。
その傷に関しても、一か月程度で目立たなくなりますし、
毛包斜切断という、傷跡から眉毛が生えてくるよう配慮しながら手術を行うので
最終的には分からなくなることがほとんどなのです。
また、眉毛が一部減ってしまいますので、眉毛が減った部位に、
取ったタルミから眉毛を分離して植毛するといった発表もさせていただいています。
→こちら(英語サイト)
眉毛下の手術の特徴は昔の印象に戻すことが出来ることです。
目元の印象を変えずに若返りたい方にお勧めです。